
優秀な人から辞めていくというのを聞いたり、急に退職者が増えるけど、人事はどう考えているのでしょうか。

人事の中でも採用教育/人事労務で考え方は違いますが、人事部を管理してきた身として退職面談もかなり立ち会ってきたので、経験からお話させていただきたいと思います。
結論まとめ
- ある程度の退職率は仕方ないと思っている
- ミスマッチは採用プロセスで見直す(特に人材投資黒転までは慎重)
- 不遇を人事制度のせいと言う社員がいるが、具体的改善策が上がってくることはなかった
- 経営方針次第で内部評価と市場評価の乖離は制度で埋めていく必要がある
- 優秀さの定義は人によって異なるが、評価が高い社員は辞めて欲しいと思っていない
- 評価が低い社員を辞めさせるのは容易ではない
- 辞めるなら年収上がる良い転職をして欲しいと思っている
- 残った社員のほうを大事に思うことに注力
退職の定量的判断
どの会社でも退職率、3年以内退職率、平均勤続年数、平均年収は取っていると思いますが、退職者平均勤続年数や退職者属性毎の退職率を分析し、ミスマッチがあるような採用をしていないかどうか、早期退職傾向が高まっていないかどうかを判断します。退職率自体よりもコホート分析などで退職率の推移で転職市場の活発化など何が起こったのかを詳細に調べることも重要ですが、社員同士の恋愛で別れるとどちらか一方またはその両方が辞めるケースなんかもあったりするので、定性的な影響も大きいことがあります(さすがに定量化していなかったですが。。。)。
人材流動性の構造的な問題
厚生労働省「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」によると令和3年上半期の離職率の平均は8.1%となっており、おおよそ4~15%(業界ごとに差あり)で一般的には5~10%で推移しているのではないかと思われます。若い人や定年層の比率が高い会社離職率は高く、25~29歳の16.5%が年収の低さを理由に転職し、35.1%の人が年収が上がる転職をしています。
これは政策的な話もありますが、結果人事制度的に中高年の雇用の維持のため、20代の賃金上昇率が悪いものとなってしまっている可能性があり、人事制度設計の見直しをする会社も増えてきています。
単純に評価が良い人は辞めてもらいたくない人材で、能力が高くとも業績に貢献できない場合(業績連動給比率が高い会社)は部署異動など配置転換を図ったり、能力開発をさらにすることで評価が高くなるよう措置を講じるのが一般的ですが、最終的には辞められても仕方ないというところが本音かと思います。よって退職率が0%という会社も少し気味が悪く思ったりしていました(その地域でしか生きていけないや狂信的な何かがあるなど)。
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引き止めと悪者役の引き受け
退職しそう情報は意外と早くアラートが来て、辞めさせたくない人材には慰留してもらうための措置を講じるのですが、手数が多いわけでもなく、お金と地位で何とかするのは最終手段ではありますが、結局辞めるケースも多いので、その時点でかなり退職に近いケースが多いです。入社も退職も「お金で揉める人はお金で去る」というのが人事格言であるそうです。
アンケートを通じて会社評価を実施すると、漠然と給与が低いのは経営のせいだという意見も上がってくるのですが、
- 具体的な人事制度設計で満足度を上げるのが数年がかりになる(不利益変更が生じるため)
- 給与が業界水準より低いことが競争力の源泉となることもある
- 福利厚生を望む声が上がることはあるが、あまり機能しないことも多い
- 人事制度のどこがボトルネックなのかを具体的に指摘する社員はいない
というのが実情でした。よく失恋休暇や住宅手当を望む声もあったのですが「人事設計においては限られた予算の中で最高のパフォーマンスを引き出す環境を整備する」のが命題となるので、施策が誰かの不利益にならないかどうかを十分吟味する必要が出てきます(手当よりも月給高いほうが良いと思うのですが、なかなか理解されない部分もありました)。また作った当初から段々と使われなくなる制度もあったりするので、継続性についても注意が必要です。ただ、国の制度として死産に対しての職場復帰の充実(育休同等の休暇制度)はあって欲しいなと思っていました。
その意味では人事役員は悪者役を引き受けなければならず、なるべく対話をするようにしていたのですが、結果的には人事制度に落とし込めるほどには生産的ではなかった印象でした(ただ退職理由で安易に親族を亡くしたという嘘は辞めて欲しいなと思っていました)。
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悔しい送り出し
能力が発揮できて実績も評価も高い社員が辞めてしまうケースももちろんあり、競合からの引き抜きや取引先への転職も多くありました。中には違法な引き抜きもあったのですが、目をつぶったものもあります。また能力が今の職場で活かしきれなかった悔しいケースもあり、事業の都合上仕方なく去られてしまったなと感じることもありました。
ただ、比較的平均年齢が若い会社だったので「給与が上がる良い転職ができているか」というのは気になっていました。「もう会社の歯車になるのは嫌なんです」と啖呵を切っていった人も大手同業への転職で見事に歯車として使われたり、広告会社は事業会社への憧れが強いのですが、出世できるマーケティングや広告宣伝部署とそうでない会社との見極めができていなかったりと、悔やまれることも多かったので、せっかく辞めるのであれば、行った先で卒業生としてさらに活躍してくれることを今でも祈ってやみません。
一方、次が決まってない人に対してはもう少し冷静になって、有給休暇を使ってでもちゃんと転職活動してから辞めるよう伝えていましたが、大抵の場合仕事から逃げたい気持ちに押し負けてしまうケースがあり、残念だなと思っていました。
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送別会に出なかった理由
管理部を管掌するようになってから送別会の参加を辞めるようになりました。自身が子どもが産まれてからという私的理由もあったのですが、それ以上に変に緊張させてしまうのもありますが残る社員のことを考えることにあてたかったというのが理由になります。よく出戻り受け入れ条件で給与水準をどうするか悩むことはあるのですが、少なくとも残った社員のほうが水準が高いように設定したかったですし、転職しないで良かったと思える環境を作るのが大事だと思っていました。
以上、少し内容つっこみすぎて対象者に見つからないか心配なところもありますが、本音で書き連ねてみましたので、何かお役に立てたら幸いです。













