新人はすぐ怒られると辞めると叱る側もビクビクしているのが伝わるのですが、いざ逆の立場になるとどう指摘すれば良いのか悩んでいます。。。
他の人へのモラルにも影響するので、是正してもらわなければというシーンはありますよね。社外に対しても同じですが、体裁が違うので、まとめて解説していきたいと思います。
叱責はすばやく必要最小限にする
人は誰しも間違える生き物なので、仕事上ミスをしないことはないです。それを責める必要があるときは責任を問われるような時なので、そうでなければ「今度はこうしてみよう」や「次はどうすべきだと思う?」と未来志向で再発防止&リカバリーを急ぐのが良いかと思います。
一方会社のルール違反などは、正式には懲戒規程に則って(懲罰委員会などで決定)行われる内容ですが、そこまでの話でないようなものについては(けん責未満の内容)、放置しておくと他の人へのモチベーションの低下やモラルハザードが発生する可能性があるので、すばやく是正させる必要があります。
その際気をつけるべきポイントは以下の通りになります。
- パワハラにおける「業務の適正な範囲」での指摘
- 個人の尊厳を傷つけないよう他の人には見えない形での指摘
- 事象発生からなるべくはやいうちに指摘
になります。鉄は熱いうちに打てと同じように、すぐ指摘することがポイントで、本人に悪気や自覚がない場合は特に有効になります。相手が好戦的な場合は応報する必要はありませんので、指摘したという記録だけ残しておいて下さい。議論や喧嘩するのが目的ではなく、是正させるのが目的なので、当該行為がなぜ悪いのか、その行為によってどういった悪影響があるのかを伝える程度で問題ありません。
会社運営で悩ましいのは、ルールとして明文化されていないもので、そのルールを規程化すると直近その行為を行った特定の人に対して見せしめのように見えてしまうことで、タイミングをずらすなど苦慮しました。
取引先に怒るのは交渉手段
著者は怒るのが苦手で、怒られるのも苦手です。営業会社ほど檄が飛ぶような環境であることが多かったのですが、できる限り怒らないよう努めてきましたし、今後もそもそも怒ることがないよう働きたいと思っています。しかしながら、どうしても怒らなければならないケースも存在して、その一つが「交渉手段として怒る」ケースになります。
相手の譲歩が引き出せない時や怒らないと会社の面子が保てない時などが該当するのですが、相手方にあまりに誠意が見い出せない時に矢面に立って怒る演技をすることになります。取引先依存関係の大小にもよるのですが、下位同士が揉めて、上司同士で通じ合うケースもあれば、そのまま交渉決裂になるケースもあるので、感情的になることは一長一短あります。また債権回収などは内容証明よりもいかに相手が面倒かによって、払われる優先度が異なったりすることもあるため、強い口調をせざるをえないケースもありました。もちろん脅迫はNGです。
謝罪の仕方
一方こちら側は謝るケースも多々あり、演出のため「直接早く、妥結案を多く、関係者を多く」ということで、引きずり込まれることが多かったのですが、弱みに付け込んで悪事を誘う相手や録画されているケースなど強者もいれば、〇ろされそうになったり、ガラスの灰皿を投げられたこともありました。
上司を連れてその場で収まるプランでいければ良いのですが、一旦持ち帰って妥協案を探ったほうが良いパターンもあるので、その時々の状況で判断してもらうのが良いかと思います。
謝りなれている営業は常に謝罪のための「とらやのようかん」の常備している方もいて、著者からは「最初から謝るようなことをしなければ・・・」と思ってしまうのですが、謝罪から始まる信頼関係でさらにクロスセルを狙うという戦術があったそうです。ここら辺(酒宴やゴルフ接待など)の営業の機微は著者にはわかりかねる部分なので、他に譲りたいと思います。
経緯報告書のチェックポイント
謝罪の際、経緯報告書を求めてくるパターンがあります。社判付きかどうかなどもありますが、社外向けの正式文章になるため、法務部とも連携してチェックしてもらう必要があります。基本要素は以下の通りになります。
- 件名
- 提出日
- 社印
- お詫び文
- 時系列-他社が含まれる場合匿名にするのか開示するのかは要他社確認
- (事象発生、第一発見、第一報告、対処、影響範囲)
- 対処法
- 再発防止策
- (再掲)お詫び文
ポイントとなるのが、
- 第一発見から第一報告のタイムラグ
- 対処法-具体的被害範囲-時間/回数/人/重要度、二次的被害防止
- 再発防止策が慎重すぎたり、人手を介しすぎていないかどうか
になります。すぐ報告されたかどうかは相手先の連絡体制にも影響するので、なるべく早いほうが良いことになりますが、ユーザーからの問い合わせなどは直に顧客に届いているケースもあるため、第一発見で嘘がつけないパターンもあり、まずは上司と相談し事象発生で対応策は追って連絡するでも良いかと思います。
また対処策は様々ですが、個人情報漏洩の場合は、重要度に応じて賠償例があるので、それに倣うやり方で良いかと思うのですが、ユーザーが納得するラインというのが難しいところなので、会社の姿勢によるところが多いかと思います。
最後の再発防止策ですが、よく社内の経緯報告を見ると「AさんだけでなくBさんも入れたトリプルチェック体制」とか「〇〇再発防止委員会を立ち上げ」的な仰々しく人手を介す対策を上げがちなのですが、そもそも起こらない仕組みや自動化に向けた動きなど、人によるチェックで見抜くのにも費用やミスが発生することを認識いただければと思っています。監査ではフォレンジック調査のようなものがありますが、ミスを再発する仕組みの一つが人を介す工程だと思うくらいな認識で良いと思います。
対策(第三者)委員会/プレスリリース/記者会見
対外的な発表を要する場合は、経緯報告に加えて、プレスリリースや記者会見を開くことになります。慣れている会社であれば、事前に質問を受け付け、それを発表しつつ、紙/データ資料でも配っておくことができるのですが、急な場合はとにかく誠意を見せて謝罪するに終始したほうが良い場合もあります。発表が遅く、一方的で、質問に対しても「先に発表した通り」を繰り返し、すぐ終わらせるのは最悪なケースなので、時間が許すのであれば一度リハーサルできるくらいの余裕を持って対応したいものです。
一度報道発表とユーザー反応を見て、補償策を検討するという手もありますし、第三者委員会の設置でそこで今後の調査や対応案を出してもらうという先延ばし案もあるので、レピュテーションリスクをコントロールするのに時間をうまく使う(上述のまず報告して、謝り、対応策を検討することを報告と同じ)ことが良策の場合もあります。
うやむやにしたり、下手な記者会見例は国会答弁と同じくらいいくらでも前例があると思うので、反面教師として使ってもらえればと思います。
以上、そもそもそのようなことがないよう祈るばかりですが、何かの一助になれば幸いです。