社内で生産性を2倍にするにはどうしたらいい?と言われたのですが、どうしたら。。。
2倍だと2倍の時間頑張ってしまいがちですが、5~10倍と考えて、労働時間や少しの改善ではどうしようもない問題として考え、日本企業の問題でもある労働生産性について少しでもヒントになるように解説していきたいと思います。
労働生産性って何?
日本全体の問題として、ROEが低い、一人あたりのGDPが低い、デジタル化が遅れているなどがよく挙げられていますが、それらの解決策の一つとして労働生産性を上げるという手段があります。単純化すると付加価値(生産量や利益)を労働量(人や時間)で割ったものになりますので、仮に算出方法が時間なのであれば「仕事をしないで休む」も一つの正解になります。以降はそれ以外で労働生産性を上げる方法について挙げていきますが、大事なのは「労働生産性を上げた後に(別の)どれだけさらに収益貢献できる業務に時間を割くか」になりますので、上司や経営者は労働生産性を上げることが繋がる未来も指し示す必要があるので、ご留意頂きたいです(ただ生産量をより増やすも一つの正解です)。
プロセスを省略する/省く
リスクマネジメントと同じ考えで、労働生産性についても基本的には「除去」「低減」「移転」「受容」で考えることができます。成果を出すためのプロセスはなるべく少なく、単純明快で効率的な段取りがなされていることが理想になります。会社によっては悪習の承認スタンプラリーがいっぱいあったり、複雑なシステムが入り組んでいたりすることもあるかと思いますが、まずはゼロベースで「そもそも要りますか?」という視点から入って、やらない選択肢を考えることが必要になります。その次に場合によっては職務権限規程の改定やシステム再構築でそのプロセスを省略させることを考えていくことになろうかと思います。前のほうが良かったとなりかねないため、なぜそのようなプロセスが出来上がるに至ったのかということに考えを巡らせて設計する必要があるのですが、案外と形骸化していることも少なくないです。過去のミスから同じ成果を別のプロセスで別の人が行いダブルチェックをしていたり、不正防止のために4人以上の承認プロセスがあったりとプロセスができあがった歴史をいかに踏襲できるかがポイントになります。なかなか首肯しない先輩や部署の抵抗にあったりすることもあるので、「試しにやらして下さい」と頼んでテスト導入していき実績を作ったり、会社全体のプロセスを変えた後も細かいレクチャーや社内インフルエンサーを使った巻き込み力が求められるものになります。
完璧にせず、フォーマット化する
10%から80%までに持っていく時間よりも80%から100%に持っていく時間のほうが時間がかかる場合が多く、それに超えてダメ出しなどで修正を積み上げた挙句105%になり品質過多になってしまうケースがあります。100%のものを10時間かけてできるよりも、80%のものでも5時間でできることでそれを一定の品質レベルとして、平準化することで再現性が生まれ何倍もの生産性向上が実現できます。オーダーメイドで資料や商品を作るよりも、受注率が予見できる一定水準の定型なもので割り切ることや、労働生産性が低い顧客をグルーピングして取引停止するなど身を切る改革をすることも一つのやり方になります。
2割の時間で8割の大枠を決定しておく
これは上司にプレゼン資料を作成したり、顧客との納品期限が読めない中では、半分の時間ではなくおおよそ2割の時間で見通しを作り、それを相手方と確約して、残りの時間で内容を詰めていくやり方が効率的です。よく新人社員でいきなり本人的には100%の資料で上司の方向性とまったく異なり「なぜ事前に確認しにこなかったのだ」と理不尽に怒られるケースも2年目では、資料構成とアプローチに2割の時間を割きそれを上司と確認しておく程度で、おおよそ翻ることはないのではないかと思われます。逆に新卒後輩には「いつでも声かけて良いからね」といいつつも進捗を確認し、裏で上司と確認しておく心遣いをしてあげて欲しいところです。
自動化する
同じアウトプットが出る別の効率的方法として、フォーマット化以外にマクロを組んだり、システムを構築したり、ツールを導入することで、なるべく人為的なミスや手間を極限まで減らす仕組みを作ることで生産性が上がります。著者自身も仮想デスクトップにRPAを導入して、これまでの手作業を省くプロジェクトに関わったことがあるのですが、セキュリティポリシーの変更やRPA用のネットワーク敷設など意外と面倒なことも多いのと、人の手を再現するより、最初からシステム化してしまったほうがRPA稼働時間>システム出力時間だったりもして、そうしているうちに別の要件にマッチするRPAツールが生まれたりとなかなか苦労した思い出があります。ただ、何となく同じ操作をしているなと気づいたらそれが生産性向上に繋がるきっかけとなるので、PC上の挙動を自身で俯瞰してみるというのも大事な一歩になります(Power Automateも使いこなせるようになると便利かと思います)。
単価の低い人に任せる
見出しにすると無粋な感じを受けますが、要するにフォーマット化してしまえば展開が可能なので、マニュアル通りに動くのであれば労働力の転化で、より低単価にできたほうが良いという話になります。システム組むほど効率化によってもたらされる恩恵が少ない場合、BPO、オフショア、ニアショア含む外部、社内でのアルバイト含む特別雇用者に任せることで達成できます。一方確認作業や教育コスト、急遽の代替、価格の上昇などもリスクとして考えうるため、ある程度中期計画で行い、いざとなったら自分でやる以外の別のルートも確保しておきたいところです。
空いた時間をどうするか
上述の通り、労働生産性を上げた後は休むというのも選択肢なのですが、有給休暇取得の場合は分母が変わると生産性が上がっていないことにもなるので「より成果量を増やす」や「別の収益貢献できる業務」にシフトするのが順当になります。大組織であれば上述のようなことができる人材はそれ単独の横断プロジェクトを拝命してしまいそうですが、社内の無駄も毎日生まれ続けてモグラ叩きをするようなことになってしまうので、大きな効果が生まれる改革ができたのであれば、労働生産性の分子である収益に貢献することで更なるキャリアップに繋がっていけます。最初に上司や経営者が指針を出すべきと言ったのは「労働生産性」=人が要らなくなるというネガティブイメージを持たれることを排すためで、効率化ばかりやったところで新しいものは生まれづらいということは頭の片隅にも置いておいていただければと思います。
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以上、参考になれば幸いです。