採用の時人事にお世話になったのですが、普段はあまり関わりがないのですが、どういった資格や業務があるのでしょうか。
人事といっても会社によって様々なので、おおまかに業務をお伝えして、資格や転職時の面接ポイントなどをお伝えしていきたいと思います。
人事関連の業務
一言で人事といっても業務は多岐に渡り、規模(人数や拠点)、業種、歴史によってもかなり異なります。人財管理部と言ったり、HR(ヒューマンリソース)と言ったり名前もまちまちですが、社員を雇い始め、社労士事務所だけでうまく回せなくなるタイミングが人事専属の人員を採用しはじめる頃で、以下は社員数100~300人規模で3~5名程度の人事組織を想定した分類で、総務とも近しい業務をすることから追記しております(会社によっては総務人事部としているところもあるかと思います)。
- 採用(新卒/中途/派遣/準社員/アルバイト)に関わる業務(募集要項作成、採用HPの運用、スカウト、大学訪問、社内紹介対応、紹介派遣会社契約、内定後フォロー、雇用契約の締結など)
- 教育に関わる業務(新卒/中途の入社教育、全社教育、階層毎研修、OJT研修管理、企業派遣、海外視察手配、外部教育機関との連携、ナレッジマネジメントシステム、リスキリング、アウトプレースメントなど)
- 組織評価に関わる業務(人事異動、タレントマネジメント業務、考査設計説明~運用など)
- 労務に関わる業務(入退社対応、身上変更対応、勤怠管理、給与/賞与計算、年末調整、社労士事務所との連携、休職者対応、職場衛生管理、ストレスチェック、産業医対応、衛生委員会の開催、賞罰対応、保険手続、DC対応、福利厚生、就業規則改正、労使管理、労災対応、助成金対応、保険組合対応、年金事務所対応、労基署対応、監査対応、マイナンバー対応など)
- その他総務業務(賃貸契約、ファシリティ設備管理対応、清掃管理、座席変更、引っ越し、物理セキュリティ管理、防災対応、株主総会含む大会議の対応、反社対応、備品管理、物品貸与対応、倉庫契約管理、持株会対応など)
一般の社員からは入社や退職、住所変更や結婚、勤怠や評価で関わりがある程度ですが、経理や法務とも同じく、裏では大量のタスクがあるため、勤怠締めなどには是非協力してあげて欲しいものです。またあらゆる部署から社員数と平均給与を求められるのですが、社員の定義(いつ時点、準社員やアルバイト含むのかなど)を伝えてあげて欲しいです。
人事労務業務関連の資格一覧
常時10人以上労働者を使用する事業場には安全衛生推進者または衛生推進者(受講のみで取れる)、50人以上の労働者を使用する事業場には衛生管理者を置かなければならず、工業的職種の事業場の場合は第一種、一定規模以上の有害業務事業場には衛生工学衛生管理者免許を持つものが少なくとも1名置かなければならないことになっています。よって労務で第二種衛生管理者資格を持っている人は結構います(関東のでは受験会場が遠いことが「労務あるある」なので、要注意です)。
- 社会保険労務士→会社にいると重宝する。人事制度設計変更(不利益変更)、吸収分割合併時、助成金、労基対応、労組対応など判例があるような業務をお願いしがち。
- 衛生管理者→衛生委員会、健保対応、勤怠管理、超過残業、ストレスチェック、産業医対応、労災対応などをお願いしがち。
- 人事総務検定→入退職対応、就業規則にかかる業務、出張手配や賞罰対応(懲罰委員会)などをお願いしがち。
- キャリアコンサルタント→元人材紹介会社の方が多く持つ資格ですが、中途採用、教育、異動にかかる業務をお願いしがち。
- ビジネス・キャリア検定→教育、異動、組織評価にかかる業務をお願いしがち。
- 産業カウンセラー試験→教育、休職、ストレスチェック、産業医対応、労災対応、退職対応などをお願いしがち。
- メンタルヘルス・マネジメント検定→同上+勤怠管理をお願いしがち。
- 労働時間適正管理者検定→同上。
- マイナンバー管理アドバイザー→経理と連携してマイナンバー管理システムの導入&運用をお願いしがち。
- 年金アドバイザー→元銀行員の方が多く持つ資格ですが、持株会、確定拠出年金、健保社保対応などをお願いしがち。
- 運行管理者→運送業の方が持つ資格で業種によっては必要。
- 職業紹介(&派遣元)責任者→元人材紹介(派遣会社)の方がたまに持つ資格で、採用系業務をお願いしがち。
おすすめ人事労務系資格スクール
以下は社会保険労務士資格スクールとして、おすすめの6選になります。
「オンスク.JP」ではスマホ視聴ができる社会保険労務士講座に加えて、衛生管理者講座もあり、「LEC東京リーガルマインド」では社労士、衛生管理者のほか、人事総務検定、キャリアコンサルタント、労働時間適正管理者、マイナンバー管理アドバイザー、年金アドバイザーの講座やテキストがあります。
人事メンバーの面接ポイント
- (全般)どの規模の会社(海外や拠点)でどういった特徴のある会社(成果主義など)にいたか
- (全般)給与/マイナンバー/勤怠管理/稟議/採用/評価/タレントマネジメントシステムの利用有無と有の場合何をどの程度利用していたか
- (採用)採用経験回数(採用規模、ターゲット、大学コネクションの有無)、スカウト/リファラル/媒体/エージェントをどれだけ活用していたか
- (人事企画)人事施策例と結果、どれだけ関わってどれだけ巻き込んで推進してきたか
- (人事企画)評価システム、DC導入、健保設立など社員利益に還元する施策をしてきたか
- (労務)利用していた社労士事務所と業務の分担、給与計算のチェック、法律改正変更時対応をどう対応してきたか
- (労務)労組、労災、懲戒解雇、会社都合解雇、不利益変更、吸収合併、遡及支払/回収、労基勧告、休職復帰プログラムなどの経験はあるか
- (教育)KPIを持っていたか、離職率や成果指標に影響した教育は何だったか、どういった外部機関やシステムを利用してきたか
その他総務業務含め、当初予定と異なる業務があっても良いか、社員から嫌われ役になることもある覚悟があるかどうか(人事あるあるですが)、1人でどこまでの範囲をカバーできるか、社労士事務所への外注費を減らすことができそうかなどをポイントに採用をしていました。社労士資格者は社労士事務所での経験(社数、規模、役割)や得意分野、なぜインハウスで受けようとしているかなどを聞きます。最近は社労士事務所もブラックなところもあると聞くので、世知辛いなと思っているのですが、繁忙期が各社重なるとの年調シーズンピークがあるので、同情してしまう部分もあります。
教育や組織評価に関わる業務は「社員の納得感」というファジーなものによって人員をどれだけ組織するかが決まってきます。その会社の社風にも影響するところでもあるのですが、離職率0%と同じく、100%になることはない業務なので、ちゃんとやっている感にも左右される微妙な立ち位置になります(よくMVP受賞などで「上がってしまった人」が教育に志向になりがちなのですが、そこでその人の成長が止まることもあるあるなので、要注意です)。
大量に採って、大量に辞めていったり、一定率で脱落したりをシステマチックにやっている会社もあれば、インターンから丁寧に新卒主義を徹底するところなど採用のあり方も会社次第なので、面接時にはお互いにどういった特徴のある会社(で働いてきた)なのかは募集要項以上にあって良いかと思います。
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以上、あなたのキャリア形成の一助になれば幸いです。