私の会社の営業職はコンサルティング営業と呼んでいるのですが、そもそもコンサルティングの業務や、何となく高給のイメージがあるのですが、教えて下さい。
一昔前は「企画営業」と呼んでいましたが、モノ売りから顧客に合わせて商品を提案するという意味で使われているのかもしれませんね。以下コンサルタントについて解説していきますね。
コンサルティングとは
コンサルティング業務を一言でいうと「相手方との情報非対称性を利用して、相手方の問題に対して解決しようとする業務」(※「情報非対称性」は「相手側のほうが情報が少ないこと」)になります。「解決しようとする」方法は、口頭の相談のみの場合もあれば、提案書を作成したり、資金やソリューションを提供したりと様々です。ルールメイカーと近い立場であることで情報が集まったり、同様の問題を相対化するフレームワークなど理論を提唱したり、ソフトウェアを導入したりする中でで生じる諸問題を解決することで更に情報が集まる構造となっています。
コンサルティングファームの種類
コンサルティング業務を営む企業のことを「コンサルティングファーム」といいますが、何について、どういったアプローチでというところで、違いがあります。
- 戦略系コンサルティング…企業経営から国家施策までデータ収集から戦略立案
- 会計系コンサルティング…組織団体の資金調達や投資の相談、会計フロー改善や法対応など
- M&A系コンサルティング…企業合併・事業買収に伴う仲介から算定、契約、PMIサポート
- IT系コンサルティング…ソフトウェアの開発導入、運用、システム監査対応など
- 認証機関審査向けコンサルティング…ISOやPマークなど企業団体の資格取得をサポート
- 組織人事系コンサルティング…報酬体系や評価制度、採用・再雇用代行や法対応など
- 中小企業向け経営コンサルティング…収支改善、販路拡大(広告含む)、教育まで全般
2022/08/30時点〇〇コンサルティングと呼ばれるものが88種類ありますが、上述が主にコンサルティング業界として一般認識されているところかと思います。またBIG4(デロイト、PwC、KPMG、EY)や戦略で有名なファーム(マッキンゼー、BCG、アクセンチュア)などを退職して小規模で結成しているところをブティック系コンサルティングと呼ぶことがあります。またソリューションとは独立して政策施策の裏付けになるリサーチを行うシンクタンクもコンサルティングの一種になります。最近の兆候として、取引先にVCのような形で出資をしつつ、ハンズオンで事業支援も行い企業価値を高め、IPOやバイアウトを狙うコンサルティング会社が増えつつあります。
コンサルタントの仕事内容
基本的な構成要素としては以下になりますが、提案時点から一部を示したり、公募入札などの場合もあり、受注方法や受任する案件の範囲によってことなります。また各々は平行で進むこともあれば、一部のみの受注の場合もあります。
- 提案/応札~受注
- ヒアリング/仕様確認
- リサーチ
- 仮説提案/実行(PoC)
- 実行/実装/元請
- 運用
- レポーティング/検証
公的機関のリサーチやレポーティングの内容は一部公開されているので、その業務の一部を垣間見ることが可能になります。
例:経済産業省の落札した公開データの一部(Google検索結果より)
コンサルタントの資格
MBAや法対応のため、弁護士、国際(ニューヨーク州やカルフォルニア州が多い)弁護士、公認会計士、USCPA、税理士、中小企業診断士などが有用ですが、コンサルティング業においては資格は必須ではありません。〇〇協会の〇〇コンサルティング、〇〇アナリストという資格で業界内で使われるものもありますが(監査法人の監査報告書には公認会計士である必要がある)、特に必要不可欠というものではないです。
コンサルティング業界に入るには
先に述べたブティック系のコンサルティングの他、当該実務経験が多いことからコンサルティング業を始めたり、〇〇協会を管轄する省庁からの天下りや認証機関の方が認証業務とは独立した形でコンサルティングを行うこともあり、コンサルティング業界に入る方々の来歴は様々になります。最近ではSAP 2027年問題からSAP認定コンサルタントの需要が高いと言われております。
また戦略系コンサルティングの新卒採用においては、多忙を犠牲にしても経営とビジネススキルを学びながら様々な会社を見ることでやりたいことを見つけるためのモラトリアムな動機で入りたい人もいれば、高給さに惹かれる方も多く人気の業種です。MBAなど高学歴であるイメージが強く、インターンを要したり、ボストンキャリアフォーラムなどバイリンガル向け就職フォーラムを経由してコンサルティング業界に入ることが多いようです。また外資系に強みを持つJAC Recruitmentやキャリアインキュベーションのようなコンサルティング業界に強い人材紹介会社も存在します。
コンサルタントの年収
入社1年目でも残業代がつくケースが多いため、トップレベルの高給になりますが、業態や会社によってマイナス100万~プラス150万程度の差があります。以下は一例になります。名称は様々で(アソシエイトやプリンシパルなど独特な名称で必ずしも上層部でもないケースもあります)階層は3階層のところもあれば以下例のように6(グローバル地域監督などで+2)階層の組織になっているケースもあります。
- ジュニアコンサルタント(アナリストやリサーチャー)…450~700万(残業代含む)
- コンサルタント(シニアアソシエイト)…800万~1,500万(裁量労働のため残業代ないことも)
- シニアコンサルタント(マネージャー)…1,000万~2,000万(管理監督者のため残業代がない)
- プリンシパル(シニアマネージャー)…1,500万~3,000万(インセンティブがあるケースも)
- アソシエイト・プリンシパル(シニアエグゼクティブ)…2,000万~5,000万超
- パートナー…2,000万~
顧客や案件をひっぱってこれるかで転職が有利になったり、M&Aやプロジェクトの成功報酬によるインセンティブがあったり、VC型の場合はバイアウトやIPOによって多額のインセンティブを受け取るケースも存在します。
コンサルティングの問題点、怪しい取引に注意
- 最初から答えや契約が決まっている
- 多忙でUp or Outの文化
- 結果的に自社ソリューションや予め決まったものを営業するだけ
- ソフトウェア導入の敷居を低く、運用を複雑化させている(ベンダーロックイン)
- グローバル資本主義経済の限界
- 実行は下請けが行い、元請けとしての付加価値が低い
- 問題の立て方が間違っている
- 解決の方法が間違っている、事例が古く陳腐化している
- 資料が多さだけ増え、結論が曖昧
- 実行に結び付かないデータ集めになってしまう
- 実現可能性が低い
- 提案するも実現までコミットしない(できない)
- 何もした証憑がない
- 正当な対価かどうか見極めが難しい
- 循環取引や個人的リベート(キックバック)に使われやすい
このような問題点からコンサルティング企業は以下に動き、また企業側は対価や結果について注意を払う必要があります。
- 事業会社への転職や独立
- VCとして出資することで伴走する当事者となる
- 働き方改革(教育やフォロー)で残業を少なくなっている
- IT、デジタル、DXの強化
- 国際的な枠組み作り、コロナ禍後生活変容への対応
- 共産圏の分断、サプライチェーン問題への解決
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以上、あなたのキャリア形成の一助になれば幸いです。