PR

【キャリア】会社のNo.2(社長の右腕)になる方法と思考法|仕事術や向き合い方

#キャリア 会社のNo.2になる 方法と思考法 キャリア
この記事は約11分で読めます。
記事内に広告が含まれています。

[景品表示法に基づく表記]本ページは広告が含まれています。

スポンサーリンク
新人
新人

同期でキャリア志向の人が社内でNo.2の地位になりたいと豪語していたのですが、実際どのようになるのかやどんなこと考えているのかわからないですが。。。

ひよ先輩
ひよ先輩

No.2と言っても様々なのでタイプを紹介しつつ、私が実践してきた方法や思考法について解説していきたいと思います。

スポンサーリンク

No.2といってもあり方は様々

※会社法でいう代表取締役(または代表社員)を本稿では便宜上「社長」と換言します。

No.2とは言っても、名称や役割がかなり異なっており、以下のパターンがよくあるケースになります。

・第一線を退く(退いた)社長(会長)に対して、後継者である副社長(社長)→事業継承型
・買収された側でPMI上、社内混乱を避けるためのNo.2→M&A型
・株主意向の派遣役員に対して、取締役会議決権確保のためのNo.2→経営執行不分離型
・社長と同等の実権があったり(COO)や不足を補うためのNo.2→社内出世型

社内で「No.2」になりたいと言われる方はおそらく後二者に該当し、社長には配慮しつつ社内出世を目指したいということなのだろうと推測しています。名称は副社長だったり、COOだったり、常務取締役だったり、上席執行役員だったり会社によって異なると思いますが、いわゆる「社長の右腕」と言われるような人を想像しています。

形式的な話で補足すると、取締役は委任契約で株主が決定するので、議決名簿にあげてもらえ選出されるような人になるでしょうし、執行役員の場合は雇用契約なので職務権限規程上の決定プロセスにおいて名簿にあげてもらえ選出されるような人となります(創業者が後継指名したにも関わらず、再度創業者が代表に戻るということが最近のあるあるになってきましたが)。

信用×実績×スキル

No.2になる方法も様々で、創業家株主の娘婿になったり、養子になるパターンもあれば、経営チームが社長一人しかいないので子会社へ役員として派遣というパターンもありますが、どちらのパターンも信頼に紐づいていて「逃げないし裏切らない」と思われているからとも言えます。通常の信頼の積み上げ方については過去記事をご参考下さい。

そして、突出はしなくとも一貫して高パフォーマンスで実績と評価を積み上げていく必要があります。それにはそれ相応の時間がかかるので、じっくりコツコツ実践しなければならず、社内政治にも適度なバランス感が必要になってきます(後から入ってくる中途の上司に合わせたり、年功序列を順番待ちしたりと…思わず転職を薦めたくなってしまうことも山ほどあると思います)。

スキルについては2021年6月にコーポレートガバナンス・コードが改訂されたことによって上場会社の8割が取締役のスキルマトリックスを公開するようになったので、同じ業種の企業のスキルマトリックスを見ていただき、会社の成長に合わせて社長に不足している部分を補うようスキル習得に努めるのがおすすめの方法になります(スキルでない属性として「独立役員」「非業務執行」「女性」を表示している会社もあります)。スキルマトリックスに記載される一例は以下の通りです。

・企業経営、事業戦略
・営業、マーケティング
・財務会計、M&A
・法務、リスクマネジメント、コーポレートガバナンス
・組織、人材、D&I
・テクノロジー、研究開発、DX
・製品開発、ESG

会社の事業、業態、成長によって変わってくるものなのですが、どの部門をどれだけ管掌しているかというのが問われることになるのですが、特に規模の小さいベンチャーなどの場合は何でも屋にならざるをえなくケースも多々あります。

社長との距離感

No.2とは言え、部門の意思決定や臨時の際は代表として相対すことがあるため、社長の考えていることはいなくてもわかるくらい理解しておく必要があります。また社長の思いつきそうなことに対しても具体化するプランを複数持ち合わせつつ、朝令暮改で現場が混乱しないよう先読みをする必要もあります。但し、社長と意見が違うことももちろんあり、壁打ち役として止揚させることもありますが、一度決めたことには、例え気乗りしなくても、最大限フォロー(やそれ以上の旗振りを)していかなければなりません。社長のタイプにもよりますが、会社戦略を1回説明したらもう終わりで飽きてしまう社長も多いので、現場向けに何度も拡声器の役割で浸透させていく地道な役割も引き受けることがあります。

また常に代表代行ができるよう臨戦態勢でいなければならず、世間が思う「縁の下の力持ち的なNo.2」とはイメージが違う面があるかもしれません。

何にコミットするのか

No.2であっても、現場以上に経営者として当事者意識を持って会社の成長にコミットする必要があります。著者の場合はたとえ管理系であったとしても、株主目線で「常に1.5年後が属する期末のEBITDAとFCFの最大化にコミットする」よう臨んでいました。就任期は実質数か月しかないのと、事業ポートフォリオの組み換えやファイナンス的に膿出しをしたりするので、業績回復や自身の意思決定から実行の効果が表れるまでの耐える期間が必要だと考え1.5年という期間を仮置きして動いていました(株主目線ではもちろん当期中に結果を出して欲しいなのですが)。

事業ポートフォリオの安定化

M&Aや新規事業含め、常に〇〇%の成長を株主から求められるため、事業のポートフォリオを組み、リスクを分散させながら安定的な業績を出せるようにしていきます。時には新規事業をトップダウンですることもあれば、大幅な人員配置をすることも厭わずやることもあるので、社内の不和を生むこともしばしばありますが、常に挑戦をする組織でないとポートフォリオが縮小均衡してしまうので、社内説得も丁寧にする必要があります。

そのために特に営業との連携を密にし、求心力と機動性を高めておく必要があります。会議は踊る、されど進まずでは1円も稼げないので、いざとなったら全員戦闘態勢の旗振りをし、先導していく覚悟がなければなりません

ファイナンスで打ち手の幅を広げる

財務諸表を見はじめて、時には当時の取締役会資料や詳細な伝票データを見て、事業の成長度合いとのバランスと比較しながら、変な出費や減損リスクがあるものはないかや、もっと資金を投下することで成長が見込めるのではないかという勘所を掴んでいく必要があります。必要とあらば外部調達も視野に入れて銀行と交渉したり、M&Aで手に入れることを考えることもあります。儲かっている会社を買うM&Aと赤字M&Aどちらのパターンもありますが、大事なのはどのピースを埋めるための手段なのかを明確にすることで、それがあると社員モチベーションの維持に役立てることができます。

会計基準の変更や価値算定が入るものについては外部(弁護士や監査法人、または専門企業)との確認が必要ですが、会計の力をつけることは会社価値を上げる手段を増やせるので、ぜひとも押さえておきたいところになります。

人事/組織戦略

経営方針と事業戦略のコンテクストに合わせて、人事の制度や組織を柔軟に変更する必要があります。ポイントとしては以下の通りになります。

・社内派閥をまとめ上げ、挙党体制を築く
・人事を尽くして天命を待てるよう、不満分子に対して懇切丁寧な説明責任を果たす
・信賞必罰はするが、次期処遇は確約せず、レームダックも組織運営には必要
・最大限のパフォーマンスを発揮できるよう環境を整備する
・多様性は新しい視点を生み、単一性は早さを生む

1番目から激ムズ案件なのですが、自分が派閥の長になっている可能性も高いのですが、距離感を保ち風通しの良い組織運営ができるような振る舞いが必要になります。

内部統制上のリスクに備える

これまでの項目が攻めだとすると、この内部統制上のリスクに備えるは守りになりますが、リスクはないことは絶対にないので、リスクをいかにリターンに対して適度に管理しているかが重要になります。よくある孫請け会社社員による個人情報漏洩問題も「下請け会社との契約担保とチェックリストの返答」だけでクリアになっているケースも多々あるのだろうと邪知しています。もちろん内部統制上の決算にかかる「フローチャート」「業務記述書」「リスクコントロールマトリックス」も大事なのですが、それ以上に100人規模の会社になると年1回事件に巻き込まれるジンクスのようなものがあって、それに対してすぐ事故として動けるかというのも大事になってきます。平たく一例を挙げると、深夜痴漢加害者として警察署に拘留された社員に対して、弁護士と一緒に警察署まで駆けつけ事実を認めたら退職届に名前を書かせ、報道には「元社員」の扱いとして風評を防いだりと生々しいことを裏で処理しなければなりません。社長と会社を狙う罠については以下をご参照下さい。

監査役や監査法人とのコミュニケーション

監査役は会社から独立して、会社の内部を業務と会計の面で監査し、企業経営が健全かつ適正に運営されているかを証明してくれる存在なので、重要な会議にも出席されることもあれば、個人面談を実施されることもあります。会社法にも財務にも明るい方が選出されるので、決算実務や取締役会において適切な助言をいただけるので、スタンスとしては隠さず正直にいることが大事だと思っています。ほとんどが高齢の方が多いので、事業説明は丁寧にする必要がありますが、不正察知は内部監査よりも鋭く学びになることも多々ありました。

一方監査法人についても最終的には株主に対して会計報告をする際添付する監査報告書を取締役会に提出してくれる機関で、計算書類及びその附属明細書を監査し、適正に表示されているかどうかを意見する立場になります。経理スタッフは証憑収集に左右されつつ、業務説明から価値評価の妥当性など意見がわかれるところまで、たまには侃侃諤諤な議論をしていきます。是正が必要なものはすぐに正し、決算修正(や過年度修正)などが発生しないよう時間との闘いで折り合いをつけていく必要があります。

かなり大手の企業の例だと、監査法人に対して強気に出ることが慣習になり、結果不正会計につながり社会的にもニュースになったこともあるので、ありようは変わっていくかもしれないのですが、監査法人が変わったり、4大監査法人でないと訝しげに思う投資家もいるので、委任して費用も払っているのですが、適度な緊張関係でいるのが良いと思っています。日常的には税理士事務所や(お金があれば)会計コンサルに相談することのほうが多いと思います。

証券会社/株主とのコミュニケーション

IPOなどの資金調達時には引き受けの主幹事証券会社とともにIPOに向けて準備していきます。東証の審査をクリアするまでは引き受け部門の審査など色々ありますが、基本的には伴走してくれるパートナーになります。ただ直近は初値の妥当性について、顧客に有利な条件にしているのではという問題が発生しているので、その段階では利害が一致しないことは頭に入れておいても良いかと思います。

一方機関投資家としての証券会社や証券アナリストに対しては、投資したくなるストーリーを時流に乗せて説明していく必要があり、示唆に富む質問から手厳しい質問まで様々です。最近では「コーポレートガバナンス」「D&I」「DX」「ESG」「AI」などテーマ切り口を求められるので、取り組みを説明していく必要があります。一般株主と違う点は、顧客のお金を左右する立場になり、他社IRにも慣れているので、より競合優位性や成長性をロジカルに伝えていく必要がある点になります。だからといって個人投資家の株主優待ブームも終わりつつあり、ガイダンスを超えた業績&高配当を求める時代になると思っています。

コンサルティングファーム

代表がコンサルを入れて色々と話した結果、自分が企画したものが綺麗なパワポになって帰ってくるというのはNo.2あるあるかもしれません。No.2が元コンサル出身が多かったり、先述の通り社長のやりたいことに対して複数実現案を持ち合わせていることによって、社長が満足しそうなものはすでに知っているというのもありますが、多額のお金を払うことになるので、やるせない気持ちになります。しかし外部の後ろ盾ができることによって、社長もより確信を持って実行することができるようになるので、良い面もあります(自分の力不足も感じますが)。社内の問題についてもほぼ着眼点が同じなので、相手方のパッケージ商品に落とし込まれることに注意しながら、解決に向けて動く必要があります。会計やSlerなどはリプレイスもしずらく、保守運用を別にすることも難しい場合があるので要注意で、人材コンサルについても結果何が得られるのかを慎重に吟味する必要があります。マネージャー育成プログラムと称して社長を洗脳していたなんてこともあったので、よくわからないコンサルには注意が必要です。

責任問題を変わり身で受ける

No.2とは言っても、取締役は委任契約なので任期が終了で再選されなければ終了で失業保険もありません。株主代表訴訟の対象にもなり(保険もあります)、業績悪ければ一律減給、不祥事があれば引責辞任をしなければならないケースもありますし、嫌われ役や汚れ役もやりつつ、とばっちり的な問題にも責任を取らなければならないこともあります。それでも会社を最後の一人になっても背負ってやり抜く覚悟というものがNo.2には必要ですし、実際著者は代表清算人になったこともあります。

それでも様々な社長の良し悪しを臨機応変に対応していくキャッチャー的な面白さもありますし、軍師的にうまくことが運ぶ時の快感を味わえることが面白みでもあります。当時感銘を受けた本(企業参謀ではありません)を紹介して本稿は終わりたいと思います。

以上、あなたのキャリア形成の一助になれば幸いです。