派遣社員は3年経てば正社員になるから異動か別の会社に派遣されてしまうって聞いたけれど、色々教えてもらっているし、困るなぁ。。。
自ら望んで派遣的労働を望む方もいらっしゃいますが、これまで正社員化を進めてきた例から賃上げ方法と正社員化になる方法について解説していきます。
3年時ルールでの正社員化は厳しいケースもある
平成27年労働者派遣法改正による3年ルールとは「同じ派遣元から事業所または同じ人が3年経過すると本人が希望すれば、派遣元企業は直接雇用させるよう努める義務がある」というものになります。ポイントとしては事業所単位ルールのほうが優先されるため、派遣社員自身が期限を知らないケースがあるので、人事担当者への確認をしておいて下さい。そしてこの3年の期間は脱法的にほぼ同じ仕事で別の課に異動させたり、期限あるプロジェクトとして体裁を整えたりと、派遣会社のほうから適法内で派遣社員のままでいさせようと提案されることもあります。
派遣社員として、耐えられる区別がある会社か見極める
福利厚生については不合理な待遇差は違法となり、なるべく正社員と同等の処遇をするよう努めるべきとされてきていますが、社内イベント/席配置/業務内容/呼び名などで区別されることはよくあるかと思います。その区別があまりない会社や自分にとって苦痛かどうかは正社員になるにあたっての大事なポイントかと思いますので、見極めが必要です。個人的には「社内イベントは社員は強制、派遣社員は任意(時給発生有)」として配慮している会社でも、社員になると強制なのかと思うと拒否反応が出てしまうタイプなので、人それぞれの価値観になるのかと思います。
賃上げ交渉のタイミング
通常派遣会社を通して、派遣先企業の管理責任者に連絡が来るケースが通常かと思いますので、派遣会社の営業向けの内容になってしまいますが、以下が管理責任者として考えていることなので、派遣会社の担当の方と連携していただくのが良いです。
- 予算策定時期と査定時期の確認
- 社内の平均昇給額/率
- 社内での評判
- 組織上長の評価(中途社員であれば7割の人件費とその3か月分の採用費をかけても良いか)
- 派遣労働者に還元されるのかどうか
よく12月決算の会社で12月に「ここ3か月でだいぶ業務になれてきたので、1月から(時給)100円アップでお願いできませんでしょうか」と言われるのですが、年2回の査定で1回辺り1%を平均としている会社からすれば3か月で時給100円アップはMVPレベルでの昇格に相当する額だったという場合もあるため「予算作成前の社員査定と同じタイミングでの交渉で月換算にして提案すること」をおすすめします。また「本人はすごく頑張りたいと言っているので、100円アップを」と聞いて、本人に聞いてみるとすべて派遣会社の利益になるだけで、私の時給が上がらないと言われた悲しいケースもありました。
正社員になる方法
派遣先の企業の社風や働き方が良いと思ったら、正社員に向けて動くことになるのですが、上述の予算策定のタイミングより前に部課の上長に相談して欲しいと思います。会社によっては面接を経る必要があると思いますが、すでに実績がある場合は特に採用ステップを経ることなく正社員化に向けて動くことが可能になります。ただ気を付けて欲しいことは派遣元会社との交渉になります。
理解ある会社は紹介予定派遣に切り替え、紹介料を支払うことで晴れて正社員化になるのですが、派遣先に紹介料を高額に設定されたり、派遣先変更に向けて動かれたりすることもあります。前者の場合は上述の「組織上長の評価(中途社員であれば7割の人件費とその3か月分の採用費をかけても良いか)」というのが大事なポイントになるのですが、後者の場合は固辞してもらい一般採用として派遣先企業に申し込んでもらったケースもあります(揉めるかと思ったのですが、結果的には揉めることなく終わりました)。
特殊な例なのですが、派遣先を変更され、私の会社に来て正社員になった後、グループ出向、転籍を経て、元の派遣会社への吸収合併がなされ、見事元々派遣先企業の正社員としての処遇を経たというケースもありました。
またうまいなと思ったのが、現在派遣費用として掛かっているコストと正社員化した場合のコストをしっかり把握して、ボーナスや法定福利費含めても正社員化したほうがお得ですと本人から交渉され(もちろん社内評判も抜群に良かったのですが)ここまで計算されたら首肯せざるをえないと思った方もいました。
派遣先企業での働き方が合わないと思った場合は、派遣元企業での相談でも良いのですが、普通に転職して正社員になるというのでも十分道はあると思うので、ご検討してみてもらえればと思います。
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元派遣事業者のぼやき
私自身派遣元責任者の資格を持っており、派遣事業を営んでいたのですが、複雑な法整備やルールが関係して管理が大変な分おおよそ3割のマージンを乗せていました。ただそれは派遣先にとっても派遣される方にとっても利益にはなっておらず、誰も得しない仕組みなので、大企業の派遣会社でないと難しい管理をもっと簡便にでき、管理コストに応じて柔軟にマージンを減らすことができれば、構造的に賃上げに進むのではないかと思っています。個人的な意見として3割は少し乗せすぎかなと思っている次第です。4割になると直接雇用が裏で進みやすく、2割だと管理コストが賄えないので結果大きな派遣会社が強くなるのですが、役所など派遣会社が事業上不可欠となってしまっている社会構造はちょっといびつだなと思っています。だからといって政治がどうとか解雇規制や人材流動化がうんぬんという話ではないので、老害のぼやきだと思って流していただいて問題ございません。
以上、あなたのキャリア形成の一助になれば幸いでございます。